【6月20日 AFP】米メキシコ湾(Gulf of Mexico)沖の原油流出問題で、採掘権を持つ英エネルギー大手BPのトニー・ヘイワード(Tony Hayward)最高経営責任者(CEO)が、17日の米下院公聴会で証言した翌日に英南部沖で開催されたヨットレースを訪れていたことが19日までに明らかになり、さらなる非難が巻き起こっている。

 BPは前日、事故後対応に関する日々の監督責任を英国人であるヘイワードCEOから、米国人の同社マネージメント・ディレクター、ボブ・ダドリー(Bob Dudley)氏に移す方針と発表したばかりで、原油流出が今も止まっていない中、同CEOの姿勢に新たな批判が向けられている。

 ヘイワードCEOは息子と一緒に、英南部ワイト島(Isle of Wight)で資産運用大手JPモルガン・アセット・マネジメント(JP Morgan Asset Management)主催したヨット数百隻が参加する大会を訪れ、自分が所有する27万ドル(約2400万円)相当のヨット「ボブ(Bob)」号に乗船しているところを撮影された。

 BPではヘイワードCEOを擁護する対応に追われている。同社広報担当のジョン・カレー(John Curry)氏はAFPの取材に対し「どこにいるときでも、彼は社内で起こっていることに関して常に把握している」と弁明した。ロバート・ワイン(Robert Wine)広報担当も、ヘイワード氏が休みをとったのは油田爆発以後初めてだと弁護した。

 しかし事故で流出した原油によって、自然の聖域だったメキシコ湾岸はいまや著しく汚染され、野生の動植物は壊滅し、湾岸の水産業にも大打撃を与えている中、ヘイワードCEOはヨット大会の前日、米下院エネルギー・商業委員会小委員会で、原油噴出の原因について説明できず、米議員たちから厳しい追及を受けた。

 英国の環境保護団体などはヨット大会に参加したヘイワード氏の判断を強く批判している。グリーンピース(Greenpeace)のチャーリー・クロニック(Charlie Kronick)氏は、ヘイワード氏の行動は「侮辱的」で「傷口に塩を塗るような行為」に等しいと憤怒する。

 ホワイトハウス(White House)のラーム・エマニュエル(Rahm Emanuel)大統領首席補佐官は20日放映予定のABCテレビのインタビューで、最近のヘイワードCEOの失言を引用し、「トニー・ヘイワードに言わせれば、彼自身は普段の生活を取り戻したってことだろう。結論としてひとつ確実に言えるのは、トニー・ヘイワードの第2の人生に広報コンサルティングはありえないということだ」と皮肉まじりに苦言を呈した。(c)AFP/Allen Johnson