【6月16日 AFP】デービッド・キャメロン(David Cameron)英首相は15日、議会下院で、1972年に英国・北アイルランドのロンドンデリー(Londonderry)で公民権デモに対する英軍兵士の発砲により13人が死亡した「血の日曜日事件」について「正当化できない」と述べ、英政府として正式に謝罪した。

 同事件の調査委員会は同日、5000ページにおよぶ報告書を公表し、被害者に武器を持っていた人はおらず、英兵は警告無しに発砲したと結論付けた。事件に関与した英兵のほとんどは報告書では階級とイニシャルだけで表記されているが、今後、訴追される可能性もある。

 キャメロン首相の演説はロンドンデリー市内の巨大スクリーンで生中継され、謝罪を聴いた遺族や支援者たちは歓声をあげた。
 
「血の日曜日事件」をきっかけに、北アイルランドでは少数派カトリック系住民と多数派プロテスタント系住民との対立が激しさを増していき、これまでに3500人以上が死亡している。1998年に包括和平合意が成立しほぼ終息したものの、これまでの暴力の歴史に対する北アイルランドの人びとの感情は依然として収まっていない。

 事件の調査委員会は和平交渉が本格化した1998年に、当時のトニー・ブレア(Tony Blair)首相が設置した。事件直後の1972年にも調査は行われたが、その後、粉飾行為があったとして否定されている。(c)AFP/Katherine Haddon