【6月14日 AFP】日本の小惑星探査機「はやぶさ(Hayabusa)」が地球帰還前に切り離したカプセルが14日、同国砂漠地帯にあるウーメラ立入制限区域(Woomera Protected Area)で無事回収された。オーストラリア軍が発表した。

 豪軍のリンゼー・キャンベル(Lindsay Campbell)広報担当によると、バスケットボール大のカプセルは箱の中に安全に梱包され、ウーメラの管制センターに運び込まれた。「あんな小さな箱に宇宙の謎を解き明かす答えが入ってると思うと、奇妙な気分だ。驚嘆の瞬間だよ」と同氏は述べた。

 一方、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は同日、「現段階でカプセルは破損していない模様」との声明を発表した。

■「おとぎ話のよう」、豪科学者たちも興奮

「彼ら(JAXA)は予定した場所ぴったりに着陸させたよ」。ウーメラ実験場責任者のダグ・ゲリー(Doug Gerrie)博士は、着陸は教科書通りの大成功だったと述べた。

 はやぶさは、小惑星イトカワ(Itokawa)の砂のサンプルを採取するため2003年に打ち上げられ、2年後にイトカワに着陸した。イトカワの砂のサンプルが採取できたかどうかはまだ不明だが、仮に採取できていれば、太陽系誕生の謎や惑星形成の過程などを解き明かす手がかりとなり得、さらには未来の小惑星の衝突の防止にも役立つと科学者らは期待を寄せる。

 とはいえ、探査機が小惑星に着陸した後地球に帰還に成功したこと自体がすでに人類史上初の快挙。

 オーストラリア国立大学(Australian National University)のトレバー・アイルランド(Trevor Ireland)教授は、「もし分析可能なサンプルが採取できたら、それは追加ボーナスだよ。このミッションはすでに驚異的で、まるでおとぎ話のようだった」と語った。(c)AFP