【6月13日 AFP】(一部更新)中央アジア・キルギスの保健省は13日、同国南部で現地時間10日夜に発生した民族間対立による衝突で、同日までに少なくとも82人が死亡、1076人が負傷したと発表した。

 同国の暫定政府は13日、南部オシ(Osh)と隣接する2つの地域に24時間の外出禁止令を発令するとともに、治安維持のため、18~50歳までの全予備役兵を招集すると発表した。

 暫定政府は12日、ジャララバード(Jalalabad)など南部各地に2度目の非常事態を宣言し、衝突防止のための発砲も許可しており、13日も南部では軍や警察が警戒にあたっている。

 非常事態宣言では、当局側に対する攻撃の撃退、政府や民間施設の破壊行為の阻止、市民保護などの名目で、殺傷能力のある武器の使用が許可されている。

 ローザ・オトゥンバエワ(Roza Otunbayeva)暫定大統領はロシア政府に平和維持部隊の出動を要請した。

 だが、ロシア政府の報道官は、「キルギス国内の衝突であり、ロシアが解決に乗り出す状況であるとは考えていない」と述べ、人道支援にとどめる意向を表明している。さらに、平和維持軍派遣には、国連(UN)との協議が必要だとの認識も示した。

 4月の政変でクルマンベク・バキエフ(Kurmanbek Bakiyev)前大統領を失脚に追い込んで以来、暫定政府は国内の治安維持に躍起になってきた。

 今回の衝突のきっかけは、10日夜、オシでウズベク系住民とキルギス系住民が市街で衝突したことだった。この事態を受け、暫定政府は南部に非常事態宣言と夜間外出禁止令を発令していた。(c)AFP