【6月12日 AFP】メキシコ北部の2つの都市で相次いで麻薬をめぐる抗争とみられる襲撃事件が発生し、少なくとも39人が死亡した。警察が11日、発表した。

 警察によると、メキシコ・チワワ(Chihuahua)州の州都チワワ(Chihuahua)で10日深夜から11日未明にかけて、約30人の武装集団が薬物更正施設を襲撃、19人が死亡、4人が負傷した。武装集団は10日深夜ごろに6台の車両に乗って現れ、更正施設の2階を襲撃し、患者や従業員に銃を乱射して脅迫文を現場に残して立ち去ったという。襲撃はわずか10分程度だったとみられる。4人は地元病院に搬送されたが、重体とみられている。

 また、北東部タマウリパス(Tamaulipas)州のマデロ(Madero)では、10日、市内を移動する武装集団と警察が衝突。同日以降、武装集団は市内の少なくとも5か所で発砲や「処刑」を行い、11日までに地元の砂浜など市内各地で20人の遺体が発見された。

■麻薬カルテル間抗争か

 マデロ市の事件と麻薬カルテルとの関連性はみつかっていないが、タマウリパス州では麻薬カルテル間の抗争が激化しており、元軍人が結成したカルテル「セタス(Zetas)」と、以前は友好関係にあったカルテル「ガルフ(Gulf)」が流血抗争を繰り広げている。

 また、チワワも以前から麻薬取引に関連した事件が多い。薬物更正施設はたびたび標的にされているが、それは、少額の麻薬取引が行われていたり、敵対勢力などの目を逃れるために施設に身を潜める関係者が多いからだという。

 2009年9月にも、付近のシウダフアレス(Ciudad Juarez)で同様の事件が2件発生し、28人が死亡している。(c)AFP


【図解】メキシコの麻薬団抗争