【6月12日 AFP】スイス・ローザンヌ大(University of Lausanne)の研究チームは10日、稲の成長を5倍速めることが可能な菌根菌を発見したと発表した。

 研究チームは、種類の異なる20個の胞子で4年間実験を行った。その結果、一部の胞子は稲の成長を遅らせたが、稲の成長速度を5倍速めた胞子も2個あった。研究者によると、この菌根菌は、遺伝子的に異なった胞子を生産する特徴がある。各胞子は、それぞれの遺伝子構造に応じて稲の成長に異なる影響を及ぼしたとみられる。

 だが、これらの胞子がどのようにして稲の成長を速めているのかは不明で、さらなる研究が必要だという。

 研究者によると、この菌根菌の利点は、遺伝子組み換えのない「100%天然由来」という点にある。また、菌糸が稲と共生して栄養分やリン酸などのミネラルの吸収を助けるため、リン酸肥料の使用量を減らすことが可能で、農業におけるエコロジカル・フットプリントの削減にもつながるという。

 この菌根菌は2~5年内に商用化が可能で、大規模農場で使用できるようになると研究者らは話している。(c)AFP