【6月10日 AFP】中国で、土地開発のために農地からの立ち退きを迫られた農家の男性が、手製の大砲や花火などで自宅を要塞化し決死の抵抗を試みている。

 大衆紙「新京報(Beijing News)」によると、この男性は湖北(Hubei)省武漢(Wuhan)で農業を営むヤン(Yang Youde)さん(56)。地元政府が雇った解体業者が、すでに2回やってきたが、ヤンさんはストーブのパイプを改造して作った大砲や唐辛子の粉を詰めた花火を発射して撃退した。ヤンさんの大砲は射程距離が100メートルもあるという。だが「わたしは法を守る一市民だ。この花火で人を殺せやしないよ」と殺意は否定する。

 ヤンさんは「わたしは農民で、これまで農業一筋で生きてきた。土地を取り上げられたら行き場がない」と訴える。

 5月に立ち退き業者と対決した際、ヤンさんは花火を使い尽くしてしまい、殴られたという。

 だが、ヤンさんは「下っぱ役人どもは市民を苦しめるだけだが、政府指導者たちは理解があるはず」と期待を捨てていない。

 全国的な不動産投機ブームに沸く中国では近年、土地開発で一もうけを狙う役人や企業家が住民に立ち退きを迫ることから、各地で争いが絶えず、暴力ざたに発展する例が増えている。

 前年11月には四川(Sichuan)省で、夫の衣服工場が立ち退き対象となったことを悲観した妻が焼身自殺をはかって死亡。河南(Henan)省でも4月、地元政府官僚がトラック運転手を雇って土地押収の抗議者をひき殺させるという事件がおきている。(c)AFP