【6月10日 AFP】世界最大のワニであるイリエワニは、海流に乗って「ボディーサーフィン」することではるか遠くまでたどり着くことができるとする研究結果が8日、英科学誌「Journal of Animal Ecology」に発表された。

 科学者らは長年、なぜ海によって大きく隔てられた太平洋とインド洋の島々にイリエワニ(海水ワニ、通称ソルティ)が広く分布しているのかについて、頭を悩ませてきた。

 オーストラリア・クイーンズランド大(University of Queensland)のハミッシュ・キャンベル(Hamish Campbell)氏率いる研究チームは、イリエワニの成体27頭に発信器を取り付け、行動を観察した。計画には、テレビ番組「クロコダイルハンター」のホストだった故スティーブ・アーウィン(Steve Irwin)氏も参加したという。

 その結果、イリエワニは、表層流に乗ることで移動距離を大幅に伸ばしていることが明らかになった。具体的には、海流が好ましい時は表面近くにとどまり、好ましくない時は深く潜っていた。 

 なかには、速い海流に乗って「ボディーサーフィン」し、わずか20日間で411キロ以上を移動したものもいた。

 キャンベル氏は、「イリエワニは泳ぎが下手。一方、海水中では食事なしで長時間生き延びることができるため、表層流が好ましい時を選んで長距離移動することができる。進化の過程で海洋を大きく横切った謎についても、これで説明ができる」と話している。(c)AFP