【6月2日 AFP】鳩山由紀夫(Yukio Hatoyama)首相辞任後の混乱による公的債務の増大やデフレ対策の遅れを避けるため、日本の次期首相はすみやかに動く必要がある。専門家たちはこう警告している。

 後任が有力視されているのは、菅直人(Naoto Kan)副総理兼財務相だが、デフレ対策を主導する1人である菅氏が首相になれば、世界第2の経済大国の経済回復が堅固さを増すとの期待も生まれるだろう。

■失望感がマイナス影響か

 しかし一方で、前年の総選挙での民主党の圧倒的勝利から1年も経たずに首相が退陣したことで市場の信任が揺らぎ、デフレや巨額の公的債務への対策が今以上に遅れるのではないかとの懸念が出てくる可能性もある。

 外国人投資家らは、歴史的勝利で政権交代を果たした民主党政権でも日本の政治は変わらないと結論し、その失望感が市場にマイナスの影響を与えるだろうと、カリヨン証券(Calyon Securities)のエコノミスト、加藤進(Susumu Kato)氏は述べる。先行きが不透明な政治情勢は経済改革を遅らせ、それがさらに投資家の嫌気を誘うと言う。

 参院選を前に、物価の下落を抑えるとともに、GDPの2倍を超えようとしている公的債務を減らす戦いを政府と日銀に求めるプレッシャーは強まっているが、税収の減少と20年におよぶ景気対策で、日本の公的債務は工業先進国で並ぶ国がないほどに膨れ上がってしまった。

 加藤氏は、どんなものであれ政治にこう着状態が起きれば、法制化のためのプロセスやその他の政治的イニシアチブが遅れる結果、実体経済に影響が出ると警告する。

■政策が経済界寄りに転換か

 他方、温暖化ガス排出抑制や派遣労働者の最低賃金引き上げといった、経済界が好まない政策を推進してきた鳩山氏の辞任を市場は好感するとみる向きもある。みずほインベスターズ証券(Mizuho Investors Securities)のストラテジスト、佐藤政俊(Masatoshi Sato)氏は、鳩山氏辞任による首相交替は市場に歓迎されると予測する。(c)AFP/David Watkins