【6月2日 AFP】素粒子ニュートリノに関する国際共同実験グループ「オペラ(OPERA)」は5月31日、ニュートリノが型を変える「ニュートリノ振動」と呼ばれる現象を初めて、高い可能性で確認したと発表した。ニュートリノは電気的に中性で、ほとんど光と同じ速度を持つ極小の素粒子で、宇宙誕生などの謎を解く鍵と期待されている。

 数十年もの間、物理学者らは太陽から地球に到達するニュートリノの量が、計算よりも少ないという謎の解明に取り組んできた。可能性としては、計算モデルに誤りがあるか、地球に到達するまでの間に何らかの現象がニュートリノに起きているかのいずれかが考えられる。

「オペラ」の研究チームは、欧州合同原子核研究機構(European Organisation for Nuclear ResearchCERN)のレーザー装置を用いて、スイスのジュネーブ(Geneva)で数十億のニュートリノ粒子を発射。730キロ離れたイタリア中部ラクイラ(L'Aquila)近郊にあるグランサッソ国立研究所(Gran Sasso Laboratory)に粒子が到達する過程で「ニュートリノ振動」を確認した。所要時間は2.4ミリ秒。確認の精度は98%だという。「ニュートリノ振動」によって、ニュートリノは「タウ型」の粒子に変わる。

 素粒子物理学における、これまでの「標準理論(Standard Model)」ではニュートリノは質量を持たないとされてきた。だが、「ニュートリノ振動」の確認でニュートリノにも質量がある可能性が高いことがわかった。

 研究に参加したイタリア国立核物理研究所(Italy's National Institute for Nuclear PhysicsINFN)のアントニオ・エレディタート(Antonio Ereditato)氏は、「長いこと望まれていたパズルのかけらが見つかった」と喜びを語った。

 発見は宇宙の25%を占めるとされる暗黒物質の本質解明にもつながる可能性があり、エレディタート氏は「極限まで小さな物質であっても、必ず大きな発見の手がかりとなる」と期待を示す。

 これほど小さなニュートリノが消滅しない理由を探っていけば、宇宙の誕生や進化、その最期に至るまでの謎を解く鍵となるはずと、エルディタート氏は語る。(c)AFP/Marlowe Hood