【5月25日 AFP】約1万2800年前に地球の気温が急激に低下した原因の1つは、北米大陸の広い範囲に分布した人類によってマンモスなどの大型草食動物が急激に減少したことだったとする論文が23日、英科学誌「ネイチャー(Nature)」に発表された。

 論文を発表した米ニューメキシコ大学(University of New Mexico)のフェリサ・スミス(Felisa Smith)氏らの研究チームが先史時代の氷床のサンプルを調べたところ、大気中のメタンガス濃度が急激に減少した時期と、巨大草食動物の絶滅や、温暖化傾向にあった地球が再び急激に寒冷化した新ドリアス期(Younger Dryas)が始まった時期がほぼ一致していたという。

 先史時代の北米大陸には100種あまりの大型草食動物が多数、生息しており、消化管から強力な温室効果ガスであるメタンガスを排出していた。メタンガス排出量の急激な減少が、寒冷化の原因、あるいは1つのきっかけになったと研究チームは主張している。

 研究チームは当時の大気中のメタン濃度の減少のうち12.5%から100%は先史時代の大型動物の絶滅で説明できると結論づけた。
 
 過去50万年間にメタンガス濃度が大きく減少した6回のうち、新ドリアス期が始まった頃の減少は他の5回より2~4倍も急激だったことから、研究チームは複数の要因が重なったと考えている。

 論文は「巨大生物の絶滅は人類の活動が引き起こした最初の悲劇だった」としている。(c)AFP/Marlowe Hood