【5月21日 AFP】(写真追加)メキシコ湾(Gulf of Mexico)で爆発・水没した石油掘削施設から流出した原油が、ルイジアナ(Louisiana)州の湿地帯に壊滅的な被害をもたらしている。原状回復は極めて困難とみられるほか、沿岸漁業も壊滅状態で、地元当局は英エネルギー大手BPを強く非難している。

「沿岸の24マイルが破壊された。全部死んだよ。あの沼にもう生き物はいない」。ルイジアナ南部プラクミン(Plaquemines)郡のBilly Nungesser郡知事は20日、米MSNBCの取材に対して嘆いた。

■足場ない沼地、除去はほぼ不可能

 湿地帯の原油の除去作業は至難の業だ。植物が密生する入り組んだ沼地には人の立つ場所がなく、平底のボートで移動するしかないため、ビーチや岩がちな浜辺のようにショベルカーやモップは使えない。

 野生生物を保護しようにも、隠れる場所には事欠かないため、救助活動中にかえって人を怖がって逃げる動物が流出原油に捕まってしまう恐れがある。

 専門家らによれば、原油をそのまま放置するか、もし油の層が厚すぎるようであれば燃やすのが最善の策だという。

■BP、推定量以上の流出認める

 事態がますます悪化するなか、これまで流出原油量を日量5000バレルと主張してきた英エネルギー大手BPは20日、ついに流出量が当初の推定量を上回っていることを認めた。

 BPの広報担当者は、長さ1マイル(1.6キロ)の管を挿入して原油を回収する様子の映像を公表。1日あたり5000バレルを回収しているにもかかわらず、かなりの量が流出し続けていることを認め、「つまり(流出量が)少し上回っている可能性があるだろう」と述べた。

 専門家からは、実際の流出量はBP推定量の10倍に上ると指摘する声がある。(c)AFP/Clement Sabourin