【5月21日 AFP】英大手スーパーマーケットのアスダ(Asda)は20日、がん治療薬を原価で販売すると発表した。がん治療薬の販売で莫大な利益を上げている同業者に対しても、この例にならうよう呼びかけている。

 がん治療薬は寿命を延ばしてくれる可能性はあるが、国民健康保険制度(NHS)が適用されないケースも多い。原価による販売は、がん患者が治療薬につぎ込むお金を大幅に節約できることを意味する。

 アスダの薬剤師、ジョン・エバンス(John Evans)氏は、「必要な治療薬の費用を捻出(ねんしゅつ)するために貯金を切り崩すがん患者は多く、家を抵当に入れる人までいる。当社はこうした『不公正』を把握して手を打った最初の小売業者であり、同業他社に対してもあとに続くよう呼びかけているところだ」と述べた。

 当面販売されるのは、肺がん治療薬の「イレッサ(Iressa)」。価格は30錠入り1パックが2167.71ポンド(約28万円)だが、一部の大手ドラッグストアでは3250ポンド(約42万円)以上で売られている。今後は、腎臓がん、肝臓がん、胃がんの薬なども原価で販売していく予定だという。(c)AFP