【5月1日 AFP】アフリカ・ソマリア沖の海賊対策で、紅海(Red Sea)で護衛活動に従事する海上自衛隊の拠点となる基地建設が、ソマリアに隣接するジブチで進んでいる。第二次世界大戦(World War II)以降、平和憲法を掲げる日本の自衛隊が国外に基地を設けるのは初めて。4000万ドル(約37億円)をかけた海自基地は、年明けにも完工の予定だ。

 ジブチで建設中の基地について、海上自衛隊の北川敬三(Keizo Kitagawa)2等海佐はAFPの取材に対し、護衛活動のため駐留中のジブチで「国外で唯一、アフリカでは初の海自基地となる見通しだ」と語った。また、年間2万の船舶が通航するアデン湾(Gulf of Aden)で横行する海賊行為は、海洋国家である日本にとっても憂慮すべき事態だと話した。
 
 北川海佐によると、アデン湾を通航する船舶の約10%が日本の港を出港しており、日本の輸出産業の90%はアデン湾シーレーンに依存している。だが、この日本にとって重要な海域では2年前から、ソマリアの海賊が横行している。

 現在、海自隊員らはジブチの米軍基地を間借りしており、海自基地が完成すれば、隊員が寝泊りしたり、物資の保管に使用できるようになるという。

 基地建設の候補地としてイエメン、オマーン、ケニア、ジブチを視察した結果、空・海アクセスの便と政情が安定していることからジブチが選ばれた。ジブチにはフランス軍最大の国外基地や、アフリカ唯一の米軍基地がある。

 防衛省はソマリア沖での海賊対策として前年4月、護衛艦2隻と哨戒機2機をアデン湾に派遣した。

 各国の軍艦による護衛活動が功を奏し、ソマリアの海賊らは現在、アデン湾から海上警備が手薄なインド洋(Indian Ocean)へ活動の場を移している。(c)AFP/Emmanuel Goujon