【5月15日 AFP】ヨットによる世界最年少の単独無寄港、無支援の世界一周を目指して前年10月にオーストラリアのシドニー(Sydney)から出航した16歳のオーストラリア人少女、ジェシカ・ワトソン(Jessica Watson)さんが15日、シドニー港(Sydney Harbour)のフィニッシュラインを越え、世界一周を達成した。

 ワトソンさんは15日午後2時(日本時間午後1時)の少し前、明るいピンク色のヨットに乗って、シドニー港のフィニッシュラインを横断した。17歳の誕生日の3日前で、予定よりも1か月早い達成となった。

 同港のスティーブ・ヤング(Steve Young)港長が号笛を鳴らし、港に到着したワトソンさんに210日に及んだ海の旅の終わりを告げた。タグボートが祝福の水しぶきをあげるなか、ワトソンさんは港に集まった人びとに手を振りながら港へ近づいた。ヨットの最終ゴール地点のシドニー・オペラハウス(Sydney Opera House)に近づくにつれ、歓声も広がった。

「数時間しか眠れなかったけど、今は興奮していると思う」と最終地点に到着目前のワトソンさんは語った。「着く前に深呼吸をしなくちゃ」

 認定機関の「世界帆走スピード記録評議会(World Speed Sailing Council)」は最年少記録カテゴリーを廃止したため、ワトソンさんの記録は公認されない。しかし、事実上の単独無寄港、無支援による世界一周の最年少記録達成だ。

 港の周辺には数万人規模の人が集まってピンク色の服を着て横断幕を振り、港内には100隻以上のボートがくり出してワトソンさんの到着を祝福した。さらに数百万人がテレビの生中継を見たとみられる。

 ケビン・ラッド(Kevin Rudd)豪首相や、最年少記録保持者で同じくオーストラリア人のジェシー・マーティン(Jesse Martin)さんも到着地点にかけつけた。マーティンさんは1999年に327日かけて、18歳で世界一周記録を達成した。

 マーティンさんは、ゴールラインを越えたワトソンさんのヨットに飛び乗ってワトソンさんを祝福し、ワトソンさんがこの瞬間を満喫できるようにとヨットの操縦を代わった。

 ワトソンさんがヨットを始めたのは8歳のとき。世界一周の旅は、2万3000カイリに及んだ。度々苦難に見舞われながら、太平洋、大西洋、インド洋を航海した。タスマニア(Tasmania)島沖ではヨット転覆もあった。

 航海中は退屈と孤独との闘いだったという。数か月も人に遭遇することがないときもあり、ヨットの修復もすべて自分で行った。

 試験航行の際、ワトソンさんのヨットが出港直後に6万3800トンの貨物船に衝突して破損したことから、クイーンズランド(Queensland)州当局は出港を考え直すよう求められることもあった。(c)AFP/Amy Coopes