【5月10日 AFP】前週の英総選挙で過半数に届かないながら第1党に復帰した保守党と、第3党の自由民主党が連立交渉に入った。しかし、連立合意までに乗り越えなければならない障害は大きい。

 次期政権のカギを握るキングメーカーとなった自民党のニック・クレッグ(Nick Clegg)党首は選挙前、どの政党も過半数議席を取れない「ハング・パーラメント(宙ぶらりん議会)」となった場合は第1党となった党と連立を組む意向を表明していた。

 だが、両党はもともと政治的に近いわけではなく、自民党内にはこれまで「卑劣な党」と呼んできた政党と連立を組むことに強い抵抗がある。自民党のサラ・ベッドフォード(Sara Bedford)議員はツイッター(Twitter)で、「自民党は一夜限りの相手ではなく、有意義な関係を求めている。結果的に独身のままかもしれない」と述べた。

■両党の主張に大きな隔たり

 両党の主張における最大の相違点は選挙制度改革だ。比例代表制の導入を目指す自民党が主要政策としている一方、比較多数得票主義を保持したい保守党は長年、改革に反対している。さらには欧州連合(EU)や移民政策、国防、歳出削減の時期などをめぐっても意見は分かれている。

 保守党のデービッド・キャメロン(David Cameron)党首は、総選挙で過半数議席を獲得できないことが判明した直後、自民党と「オープンかつ包括的な協議」を行う意向を示した。キャメロン氏は、教育関連財源の変更や環境関連雇用の創出、税制度の公平性確保、人権擁護などの政策で両党は一致していると強調する。

 その一方で同氏は、欧州統合に懐疑的な保守党とユーロ圏入りを訴える自民党の間の大きな隔たりも認めている。また、保守党が移民対策や国防力の強化を打ち出していることに対し、自民党は不法移民への恩赦や核ミサイル「トライデント(Trident)」の破棄を訴えている。

 経済政策では、両党は所得税減税という点では一致しているが、自民党が富裕な住宅所有者への増税を訴えているのに対し、保守党は相続税の減額を主張している。また、保守党は史上最大規模に膨らんだ財政赤字を削減するため直ちに歳出カットを実施したい構えなのに対し、自民党は歳出カットの時期を来年以降としている。

 キャメロン氏は7日、欧州、移民、防衛の3点を「保守党として譲れない一線」と表明した。この発言は同氏への懐疑論が高まる党内では歓迎されたが、もし連立協議で自民党に対して多くを譲る展開になれば、同氏にとっては大きな火種となる。

■まさかの「敗者の連立」の可能性も

 一方の自民党には、クレッグ氏とキャメロン氏の交渉の行方を見守る構えを見せている現職のゴードン・ブラウン(Gordon Brown)首相率いる労働党と連立を組むという選択肢も残っている。クレッグ氏は、保守党の言うところの「敗者の連立」に参加することには警戒しているものの、自民党と労働党は進歩的政党として多くの政策で一致できる。

 また、クレッグ氏が妥協しなかった場合、保守党が他の政党の支援を取り付け、少数与党政権の道を選ぶ可能性もある。(c)AFP/Alice Ritchie