【5月7日 AFP】中国で2008年、親から梅毒を受け継いだ先天性梅毒の子どもが毎時間に1人の割合で生まれていたことが、6日の米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」に掲載された報告で明らかになった。研究者らは、経済成長によって中国にもたらされた富が世界で最も急速な梅毒の感染拡大を招いていると警告している。

 梅毒は中国では50年ほど前にほぼ根絶されていたが、同報告によると現在、上海(Shanghai)では性感染症の中で最も報告例が多い。
 
 感染率を押し上げている2つのグループが、性産業に従事する女性と同性愛者の男性で、社会的プレッシャーや不名誉が足かせとなって公的な医療機関で治療を受けたがらない様子がうかがえるという。

 また、女性の感染急増については「1980年代に中国経済が市場主義へと転換し始めて以降、財産を築いた中国人ビジネスマンが増えた一方で貧しい若い女性も増え、性産業周辺の需要と供給が拡大していった」と分析している。

 梅毒は細菌が起こす性感染症で、早期に発見されれば抗生物質で効果的に治療できるが、治療せずに放置するとまひや失明などを引き起こし、死に至る場合もある。(c)AFP