【5月7日 AFP】欧州宇宙機関(European Space AgencyESA)は6日、ハーシェル宇宙望遠鏡がとらえたデータから、天の川銀河(Milky Way)のような銀河における星形成の速度が、30億年前に比べて5分の1に減速していることを発見したと発表した。

 ESAの科学者、スティーブ・イールズ(Steve Eales)氏によると、数十億年前には現在よりも星形成が盛んだったことはこれまでにも知られていたが、減速率を測定できたのはハーシェル望遠鏡が初めてだという。同望遠鏡の赤外線技術により、これまで星雲の重なりで隠れていた銀河、なかでも天の川銀河のような渦巻銀河の観測が可能になった。

 100億年前にはかなりの速度で星形成が進んだ銀河があったことは分かっていたが、これまでの望遠鏡では、100億光年離れた銀河を観測するのは不可能だった。イーグル氏は「それだけ遠くとなると今もまだ、観測の空白部分を埋められない」としながらも「ハーシェル(望遠鏡)により、約30億~40億光年という近い宇宙にある銀河が突然多数、観測できるようになった。宇宙史の隙間を埋めることはできるだろう」と述べた。

 同氏によると今回の発見は、太陽の状態に変化がなければ、星形成はいつかは完全に止まることを示しているという。星形成の減速の理由は分かっていない。

 星形成を研究するために1年前に打ち上げられたハーシェル望遠鏡は、これまで宇宙空間に打ち上げられた望遠鏡では最大で、地球から約150万キロ離れた軌道を周回している。(c)AFP