【5月5日 AFP】幼少期からテレビにさらされた子どもは小学4年生前後になって健康を害しやすく、学業成績や社会性の発達にも悪影響が出ると警告する報告が3日、カナダで発表された。

 研究によると、生後29か月の時点で、米政府のガイドラインが推奨する視聴時間数を1時間超えて視聴するごとに後年、出席率や体を動かす時間の減少、算数の学力低下などが見られることがわかった。

 逆にテレビの視聴時間数が長いほど増えるものは、クラスメートによるいじめや、ソフトドリンクやスナックの消費量だった。また視聴時間の長かった子のほうがほかの子と比べ、10歳になる前ですでに体脂肪が多かった。

 青少年を対象にしたテレビの視聴習慣に関する過去の研究でも同じ傾向が明らかになっているが、さらに若い乳幼児を対象にした研究は今回が初めてだ。

 研究チームは「就学前の子どもを対象にしたテレビ放送には教育的な志向があり、認識力にもたらす恩恵もあるだろう。それでもなお未就学児のテレビ視聴は、注意力の発達の鍵となる経験や、行動の自己制御が生まれてくるはずの時期としては認知的に受動的な活動だ」とまとめている。

 今回の調査では、子どもの保護者たちに自分の子どもが生後29か月(2歳5か月)と53か月(4歳5か月)のときのテレビ視聴習慣を報告してもらった。さらに10歳の時に保護者と教師の双方から学校での成績や、体や心の健康についての報告が集まった1314人が対象となった。

 カナダ・モントリオール大学(Montreal University)のリンダ・パガーニ(Linda Pagani)氏が率いた同調査の報告は、米国医師会(American Medical Association)の専門誌「Archives of Pediatrics and Adolescent Medicine」最新号に掲載された。

 米国小児科学会(American Academy of Pediatrics)では、2歳以前の幼少期のテレビ視聴は望ましくないとしており、また2歳以降も1日2時間以下を推奨している。(c)AFP