【4月30日 senken h】自身を「味覚のクリエーター」と称する「ラ・メゾン・デュ・ショコラ(LA MAISON DU CHOCOLAT)」クリエイティブディレクターのジル・マルシャル(Gilles Marchal)氏。「サプライズが大好き」と語る瞳の奥には、彼のショコラを口にした瞬間に広がる、思いがけないときめきの一瞬が浮かんでいるのだろう。そんな彼の熱き思いを語ってもらった。

—ラ・メゾン・デュ・ショコラでのクリエイティブディレクターという職務とは。
ジル(以下G):あくまでも会社の中の肩書であって資格ではありません。私の職業はシェフ・パティシエでありショコラティエ。また自身としては味覚のクリエーターだと思っています。五感の中でも味覚というのは非常に重要な感覚なので、目を閉じて召し上がってもすごくオイシイと思える本物の味わいを日々創作し続けてます。

—手がけるお菓子は決して安くはありませんが人気ですね。
G:本物志向というのが今、日本のみならずフランスでも一つの大きな傾向と見受けられ、職人の手仕事と呼べるモノが見直されてきています。私が子供ながらにパティシエになりたいと夢見た25年前、この仕事はこれほどまでに皆さんからの注目を集めたでしょうか。

 このところフランスでは、パティシエに対して関心が高まっています。思うに、自分では何もしなくてもお金を払えば手に入ってしまうとか、全く人と会わずに引きこもるとか、人間としての生活に何かが欠けていると感じる時代だからこそ、お菓子の「手作り」ということに興味を持つのではないかなと思うのです。テレビでも料理番組が多くなりましたし、レシピ本とか料理関連の書籍も増えています。

 料理することが自分への癒やし、レジャー、リラックスに匹敵し、今まで仕事帰りにテニスやゴルフの練習へ通っていた人が、料理の講習に行く、いわば趣味へと転化したわけです。パソコンの前でバーチャルの世界を強いられている現代人の多くは、それに少し飽きてきたのではないでしょうか。

—ジルさんが思う手作りの魅力って。
G:何もない所から具体的に目に見えるモノを作るのは、ものすごい満足感を得られることだと思います。手作りというのはその商品にどれだけの時間をかけ、精通し、レベルを上げていくかということで、それはまたノウハウにもつながります。私は幸運にも見習いとしてこの道に入った時点で、一生この仕事を続けていくだろうなと確信しました。そして独特なクリエーションを生かす立場の職人になれたのはすごく恵まれたことですし、それはまた若い方々に夢を与えられるのではないかなとも思います。

[プロフィール]
 パティシエ、ショコラティエ。菓子への好奇心から12歳でパティシエになることを決意。計り知れない芸術性に富む才能で数々のショコラを創作。「プラザ・アテネ」「ブリストル」などパリ屈指のホテルのシェフ・パティシエとして活躍するなど、フランス菓子を世界に広めた功績が認められ、パリ市より勲章を授与。07年3月「ラ・メゾン・デュ・ショコラ」クリエイティブディレクターに就任。(c)senken h / text:宇佐美浩子

【関連情報】
特集:senken h 102
・メゾン・デュ・ショコラ 公式サイト