【4月23日 AFP】米ウィスコンシン(Wisconsin)州のカトリック教会神父(故人)が聴覚障害児学校で少年らに性的虐待を加えていたとされる問題で、被害を受けたと主張している男性が22日、ローマカトリック教会(Roman Catholic Church)の内部調査結果などを含む非公開資料の公開を求め、ローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI)と法王庁を相手取って同州で訴えを起こした。

 原告の男性は、故ローレンス・C・マーフィー(Lawrence C. Murphy)神父から、1950年~74年に性的虐待を受けたとされる200人あまりの少年の1人。当時バチカン教理省長官だったヨゼフ・ラッツィンガー枢機卿(Cardinal Joseph Ratzinger、現ローマ法王)はマーフィー神父の虐待に関する報告を受けながら何の対応も取らなかったと非難されている。

 96年に現ローマ法王が問題を認識していたことを示す文書を3月に公表した原告代理人のジェフ・アンダーソン(Jeff Anderson)弁護士は、「本訴訟は、たとえ1人であっても児童を虐待したことのある神父や、そうした行為を見逃すことに荷担した司教や枢機卿すべてを解任するよう、法王庁にさらに厳格な措置を求めるものだ」と語った。マーフィー神父の元被害者の訴訟で同弁護士が手がけるものとしては5件目となる。

 アンダーソン弁護士は数十年にわたり、カトリック教会における性的虐待被害者のために活動しており、2002年にも法王庁を相手取った訴訟を起こしているが、今回の訴訟は規模、内容ともにそれを超える「前例のない」ものになるだろうと述べた。02年の訴訟は、ローマ法王庁側が法王を元首とするバチカン市国の国家主権免責を主張し、米裁判所での訴訟が可能かどうかを米最高裁が審理している最中だ。(c)AFP/Mira Oberman

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