【4月14日 AFP】ロボットスーツと言えば、銃弾をかわしながら悪者をたたきのめす「ロボコップ(Robocop)」や「アイアンマン(Iron Man)」を思い浮かべるかもしれないが、東京農業工業大学(Tokyo University of Agriculture and Technology)の遠山茂樹(Shigeki Toyama)教授らの研究チームは、農作業を行う高齢者向けのパワーアシストスーツを開発した。

 このパワーアシストスーツは、金属とプラスチックでできた外骨格に、着用者の腕や脚の力を増幅させる8個の電動モーターのほか、動作を感知するセンサーと出された指示を認識する音声認識システムを搭載している。

 研究チームは、大きな荷物を持ち上げたり野菜を収穫したりする際に利用する重労働用の30キロモデルと、ブドウの収穫などに使う軽作業用の23キロモデルを開発した。

 このパワーアシストスーツは、着用者の身体的負担を平均62%軽減するという。例えば、膝を曲げた場合、筋肉の活動は半分にまで軽減される。

■2012年発売予定

 遠山教授は、年末までに会社を立ち上げ、このパワーアシストスーツの生産を開始する計画だという。2012年には1体100万円程度で発売する見込みだ。研究チームは、大量生産が実現すれば価格は半分になるとの見方を示す。

 一方で、今のところ海外で販売する計画はないという。遠山教授は、「欧州や米国では、移民労働者などが農作業を行うことが多いので、売れるとはあまり思えない」と語る。日本の農業従事者の3分の2はすでに65歳以上となっているが、農業は利益の見込まれる将来性のある分野だ。

 遠山教授は、年内にも拡張現実(オーグメンテッド・リアリティー、Augmented RealityAR)のゴーグルの開発に着手する計画だという。

 このゴーグルには、ブドウの熟成度や着用者の心拍数、カロリー消費量、さらには労働時間や休憩のタイミングなど、役に立つさまざまな情報が表示されるという。(c)AFP/Antoine Bouthier