【4月8日 AFP】(一部更新、写真追加)米国のバラク・オバマ(Barack Obama)大統領とロシアのドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)大統領は8日、チェコの首都プラハ(Prague)で、核兵器の削減などを定めた新核軍縮条約に調印した。

 米露両政府は数か月にわたる困難な交渉を乗り越えて調印にたどり着いた。その過程ではさまざまな局面で主張が食い違い、特に米国のミサイル防衛計画にロシアが反発するなどし、交渉が行き詰る場面もあった。

 前年12月に失効した第1次戦略兵器削減条約(START 1)を引き継ぐ新条約は、両国議会の批准を経て発効する。

 通称「新START」は核弾頭の配備数上限を2002年の戦略攻撃兵器削減条約(モスクワ条約)で合意された水準より3割少ない1550に制限している。

■「地球全体に影響」

 オバマ大統領は新条約の調印式を、核軍縮と米露関係における「非常に重要な、記念すべき節目」と表現し、「長い道のりの中の一歩。この条約がさらなる削減の礎となるだろう」と述べた。また合わせて世界の核兵器の95%以上を保有する両国には、「国際的なリーダーシップを示す責任がある」とも語った。

 メドベージェフ大統領は、交渉は「容易なものではなかった」ことを認めながらも、新条約によって「ロシアと米国の協力関係をさらに高いレベルに押し上げることができる」と期待を示した。

 調印式が行われたプラハでオバマ大統領はちょうど1年前、「核兵器のない世界」の展望を示す演説を行った。オバマ政権は今週発表した核戦略報告書「核態勢の見直し」(Nuclear Posture ReviewNPR)で、非核保有国に対する核兵器の不使用を宣言した。次週にはワシントンD.C.(Washington D.C.)で核安全保障サミットが行われ、5月にはニューヨーク(New York)の国連(UN)本部で、核不拡散条約(Non-Proliferation TreatyNPT)の再検討会議が開かれる。

 メドベージェフ大統領は前夜プラハ入りした際、「核軍縮の全般的な状況は新条約に左右される部分が非常に大きい。いわば地球全体の状況が新条約にかかっている」と記者団に語っていた。(c)AFP/Alexander Osipovich