【4月6日 AFP】南アフリカでは、前週殺害された、白人だけの独立国家樹立を目指す極右白人至上主義団体「アフリカーナー抵抗運動(Afrikaans Resistance MovementAWB)」のユージン・テレブランシュ(Eugene Terreblanche)議長(69)の葬儀を前に緊張が高まっている。

 テレブランシュ議長の殺害に対する怒りは、与党アフリカ民族会議(ANC)によって一般に知られることになった反アパルトヘイト(人種隔離政策)の歌である「ボーア人(白人)を殺せ(Kill the Boere)」への怒りに変わっている。この歌がテレブランシュ議長殺害の引き金を引いたという批判だ。ボーアとはアフリカーンス語で農場主も意味する。

 この歌は、アパルトヘイトの最終期に歌われていた過激な歌詞の歌だが、ANC青年同盟のジュリアス・マレマ(Julius Malema)議長がいくつかの集会で歌い復活させた。

 AWBは、マレマ議長が殺害を誘発したとして強く批判している。また、地元紙ビールト・アフリカーンス(Beeld Afrikaans)は一面に「この歌が容疑者だ」と載せたほか、議長の家族や白人層もマレマ議長を非難している。

 マレマ議長は訪問先のジンバブエの首都ハラレ(Harare)で記者団に対し、「議長の死には全く関係がない。右翼であろうが何者であろうが、わが国の中でわれわれを脅かすことはできない」と語った。

「ボーア人を殺せ」については裁判で歌うことが禁じられているが、ANCは自由への戦いの歴史の一部だと主張している。(c)AFP/Joshua Howat Berger