【3月30日 AFP】クウェート市(Kuwait City)一審裁判所(地裁)は30日、夫の2人目の妻との結婚式が開かれていた会場を放火して女性や子ども57人を死なせたとして、「殺害の意図をもった放火」や「計画的な殺人」の罪で、妻のナスラ・ユセフ・モハマド・エネズィ(Nasra Yussef Mohammed al-Enezi)被告(23)に死刑判決を言い渡した。

 弁護人のザイド・ハッバス(Zaid al-Khabbaz)氏は、世論の影響を受けた判決だと述べ、控訴して被告の無罪を証明すると語った。

 事件は2009年8月15日にクウェート市の西40キロの距離にあるジャハラ(Jahra)で起きた。ほんの数分のうちに女性と子どもたちに割り当てられていたテントは炎に包まれ、人々はパニック状態となった。死者はサウジアラビア人らを含む57人に上った。

 09年10月に行われた最初の審理で、エネズィ被告は罪を否認した。一方、別の日に開かれた審理では、アジア系の家政婦が、エネズィ被告がテントにガソリンをまいて放火するのを目撃したと証言していた。

 この事件は、クウェート国民に衝撃を与え、クウェートのサバハ・アハマド・ジャビル・サバハ(Sabah al-Ahmad al-Jabir al-Sabah)首長は犠牲者1人あたり3万5000ドル(約320万円)の補償金を遺族らに渡すよう命じていた。

 クウェートでは3年前にも女性被告が麻薬密売の罪で死刑判決を言い渡されたが、その後禁固15年に減刑された。仮にエネズィ被告の死刑が確定すれば、クウェート人女性被告としては初めてのケースとなる。一方、外国籍の女性に対する死刑執行は過去にも例があるという。

 クウェートでは約40年前に死刑制度を導入して以降、これまでに72人の死刑を執行しており、そのうち女性は3人。大半は、殺人または麻薬密売で有罪判決を受けた者だという。(c)AFP/Omar Hasan