【3月27日 AFP】デンマークの首都コペンハーゲン(Copenhagen)にある有名な人魚姫の銅像が25日、中国で開かれる万博で展示するため上海(Shanghai)に向けて運び出された。

 子どもたちが国旗を振って別れを惜しむなか人魚姫の銅像は大型クレーンで釣り上げられ、トラックに積み込まれた。5月1日から10月31日まで開かれる上海万博(Shanghai World Expo)のデンマーク館に作られた、コペンハーゲン港の水を満たした大型プールの真ん中に展示される。

 ハンス・クリスティアン・アンデルセン(Hans Christian Andersen)の童話をもとに、彫刻家エドワード・エリクセン(Edvard Eriksen)が1913年に作った高さ125センチ、重さ175キロのこの銅像はデンマークの宝と見なされている。このため上海への輸送の是非は数年前から激しく議論されてきた。特に地元コペンハーゲンでは半数を超える住民が輸送に反対した。

 しかし、銅像を所有するコペンハーゲン市は出展を決定。船で運ぶことも検討されたが「実務上と安全上の理由から」空輸することになった。

 多くのデンマーク人は愛する人魚姫が無事に外国を旅行できるか心配しているが、デンマークのシンボルとして過ごしてきた年月のあいだに、彼女はずいぶんタフになっているはずだと指摘する人もいる。

「反抗の時代」の1960年代にはひっくり返され、腕がなくなったこともある。頭も2度切り落とされた。その後イスラム教徒の女性が着るブルカやスカーフをかぶせられたり、赤やピンク、緑に塗られたりしたこともある。

 童話の人魚姫は悲しい最期を迎えたが、銅像の方は万博終了後の11月、市民が待つコペンハーゲンに帰ってくる予定だ。(c)AFP/Slim Allagui