【3月26日 AFP】ローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI、82)が枢機卿時代に米国の神父の児童性的虐待をもみ消したとの疑惑が報じられたことについて、バチカン当局は25日、法王を擁護するコメントを発表した。

 疑惑は、米国のローレンス・C・マーフィー(Lawrence C. Murphy)神父が1950年~1974年に聴覚障害を持つ児童200人に対して性的虐待を行ったとされる問題で、米ウィスコンシン(Wisconsin)州の大司教がバチカン教理省(Congregation for the Doctrine of the Faith)に問題を報告する書簡を2度にわたって送ったが、当時の同省長官だったヨゼフ・ラッツィンガー枢機卿(Cardinal Joseph Ratzinger、現法王)は何の回答もしなかったというもの。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)の報道によると、ラッツィンガー枢機卿の当時の側近の監督によるマーフィー神父に対する教会審問は、マーフィー神父が同枢機卿に慈悲を請う書簡を送った後、中止されたとされる。

 この報道に対し、法王庁のフェデリコ・ロンバルディ(Federico Lombardi)広報局長は25日、教理省は当時、マーフィー神父の公的役割を制限し「自分の行為の重大性に対する全責任を取るよう(同神父に)求める」ことを提案したと反論。その提案の根拠について、「マーフィー神父は高齢で健康状態も悪く、隠遁生活を送っており、20年以上にわたって虐待疑惑は報告されていなかった」と説明し、教理省の指導の4か月後にあたる1998年に同神父が72歳で死亡したことを指摘した。

 また、教会審問については、「マーフィー神父に対する民事ないし刑事手続きの可能性とは全く関係のないものだった」と述べた。

 一方、バチカンの日刊紙オッセルバトーレ・ロマーノ(Osservatore Romano)は、今回の報道を法王とその側近を「何としても」中傷しようとする「下劣な試み」だと非難し、法王の「透明性、意志の強さ、厳格さを強調。マーフィー神父をめぐる問題について「隠ぺいはない」とする論評を掲載した。(c)AFP

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