【3月22日 AFP】南アフリカは21日、アパルトヘイト(人種隔離政策)時代に起きた「シャープビル(Sharpeville)虐殺事件」から50年を迎え、政府主催の追悼式典が行われた。 

 この事件はヨハネスブルク(Johannesburg)近郊のシャープビルで1960年、身分証名証の常時携帯を黒人に義務付けた法案の通過に抗議する黒人たちのデモ隊に、警官隊が発砲し69人が死亡したもの。多くは、逃げる際に背中を撃たれていた。

 事件は、世界にアパルトヘイトの不公正さを知らしめるとともに、反アパルトヘイト闘争の転換点となった。事件後、南アフリカ政府は国際社会で孤立を深め、国連総会(UN General Assembly)は1966年、事件の起きた3月21日を「国際人種差別撤廃の日(International Day for Elimination of Racial Discrimintation)」に制定した。

 アパルトヘイトのなくなった現在の南アフリカだが、最近は貧困地域を中心に、飲料水や住宅、電気の確保を政府に求めるデモ隊が暴徒化し、警察と衝突する事件が相次いでいる。追悼式典でカレマ・モトランテ(Kgalema Motlanthe)副大統領は、「1960年のシャープビルの人々は、抗議の意思を表明するにあたって図書館に火を付けたり公的施設を略奪したりはしなかった」と述べ、暴力的行為をやめるよう呼びかけた。(c)AFP