【3月13日 AFP】米ニューヨーク(New York)市警が駐車違反でレッカー移動した車の中に、マイアミ(Miami)で火葬するために空港へ向かう途中だった遺体が乗っていた。

 12日のデイリーニューズ(Daily News)紙によると、駐車違反でレッカーされた銀色のクライスラー(Chrysler)製ダッジ(Dodge)のバンは、葬儀社の前に停めてあった。色ガラスのウィンドウの内側にいる「特別な乗客」を示すために、車体には「葬儀業務中」と書かれていたが、文字が小さすぎて交通警官の目に留まらなかった。

 葬儀社の社員が準備を終えてオフィスを出てきた時には、「クライアント」を乗せた車は跡形なく消えていた。

 事情を知った、移動車両の駐車場の担当警官は、同情してレッカー代185ドル(約1万7000円)を帳消しにした。

 葬儀社社員は、自分を落ち着かせるのに大変だったと言う。「騒ぎ立てちゃいけないと思って苦労しました。『自分は葬儀屋で、車の後ろにご遺体が乗ってるんだ』と絶叫しそうで。本当は慎み深くしなくてはいけないんですが」

 安らかに眠る代わりに「車の墓場」に行かされそうになった遺体だったが、その後は無事、マイアミへ向かう最後の旅路についたという。(c)AFP