【2月27日 AFP】北極海(Arctic Ocean)の酸性度が上昇し海洋生物の脅威となっているなか、英国の探検家ペン・ハドー(Pen Hadow)氏は25日、来月「カトリン北極調査2010(Catlin Arctic Survey 2010)」と名付けた調査プロジェクトを開始すると発表した。
 
 実施期間は3月11日から4月末まで。2003年に単独でカナダから北極点に到達するという偉業を初めて成し遂げたハドー氏が率いる科学者6人を含む12人の国際チームが、二酸化炭素(CO2)排出量増加が北極海の酸性度上昇に与える影響を調査する。このような調査は過去に例がないという。極寒とホッキョクグマの脅威の中、浮遊する海氷の上を数百マイル移動することも予定している。調査結果は欧州、カナダ、米国の科学者に提供する予定。

 専門家によると、海水の酸性度が上昇すると、海洋生物が殻を形成するために必要な炭酸塩鉱物の量が減少し、ロブスター、カニ、カキなどの甲殻類や貝類の生命が危険にさらされるという。CO2排出をめぐっては気温上昇に目が向けられがちだが、専門家の間では酸性度上昇の危険性も重要視され、調査の必要性が指摘されている。

 ピエール&マリー・キュリー大学(パリ第6大学、Universite Pierre et Marie Curie)のJean-Pierre Gattuso教授は、水温が低いほどCO2は水に溶けやすいため、北極海は特に影響が大きいと指摘している。(c)AFP