【2月26日 AFP】イギリスの公共放送、英国放送協会(British Broadcasting CorporationBBC)が大規模な事業縮小に踏み切り、運営するウェブサイトの半数とラジオ局2局を閉鎖すると、英紙タイムズ(Times)が26日報じた。

 タイムズ紙によるとBBCは、不況のなか広告収入が減少した民間メディア企業とニュース市場をシェアする必要を認め、監督機関であるBBCトラスト(BBC Trust)が3月に行う戦略見直しの中で事業再編を発表するという。報じられている再編内容は以下の通り。

・運営するウェブサイトの半数を閉鎖し、人員と予算を25%削減する。
・若者向けラジオ局「6 Music」と「Asian Network」の2局を閉鎖。
・米国で制作された番組の購入予算の削減。
・営利事業を担う子会社のBBCワールドワイド(BBC Worldwide)は海外事業に特化し、英国で行っている雑誌事業を廃止する。

■「無料ニュース」への逆風

 英国内に住むテレビ所有者に義務付けられているTVライセンス(受信料)などを財源とするBBCは、市場で不公正に独占的な地位を占めているとしてライバルの民放局などから批判をたびたび受けている。

 特に、メディア大手ニューズ・コープ(News Corp)のルパート・マードック(Rupert Murdoch)氏などは、インターネットでニュースを無料で読める時代は終わらせるべきだと主張している。

 タイムズ紙は、今年行われる次の総選挙で、従来からBBCに対して厳しい姿勢を取っている保守党の勝利が予想されることから、「保守党政権」誕生後にBBC内部の問題に介入されることを恐れ、BBCが先手を打ったと見ている。保守党は政権獲得後、TVライセンス料を凍結する可能性が指摘されている。(c)AFP