【2月26日 AFP】(写真追加)今月12~13日に南極大陸のメルツ氷河(Mertz Glacier)から分離したルクセンブルクと同面積の巨大氷山が、世界の気候パターンの源となっている海流を妨げる恐れがあると、研究者らが25日、警告した。

 この氷山は、面積2550平方キロ、厚さ約400メートルで、シドニー湾(Sydney Harbour)の100倍以上のサイズ。南極大陸東部から南洋に突き出ているメルツ氷河の「舌」(Mertz Glacier Tongue)から分離し、現在オーストラリア・メルボルン(Melbourne)の方角に向かっている。

 目に見える影響は数十年単位では現れないものの、低水温の濃密な海水の生産が減速されることによって、北大西洋の冬が今ほど温暖ではなくなる可能性があると、仏豪の共同研究チームは指摘する。

 またこの巨大氷山は、南極東部の生物多様性を破壊する可能性があり、この中にはフランスのジュモンジュルビル(Dumont d'Urville)基地付近の皇帝ペンギンのコロニーも含まれるという。

 この氷山にはGPSなどの観測装置が設置されており、影響などが詳細に調査されることになっている。(c)AFP/Marlowe Hood