【2月19日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は18日(日本時間19日未明)、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世とホワイトハウス(White House)で約45分間会談した。

 会談を終えたダライ・ラマは、待ちかまえていた大勢の報道陣の前に歩み寄り、「(会談ができて)非常にうれしい。大統領は協力的だった」と語った。またホワイトハウスの記者会見室の外に残る雪に、チベットの旗を表すと思われる円と2本の線を描いて見せた。

 ホワイトハウスを訪れる要人がこのようにシナリオのない動きをするのは珍しいが、会談に対する米政府の姿勢もあまり例のないものだった。会談に強く反発していた中国に配慮して、会談は大統領執務室(Oval Office)ではなく、大統領の私的な面会などに使うマップルーム(Map Room)で行い、カメラの立ち入りも認めなかった。

 会談後に記者会見したロバート・ギブス(Robert Gibbs)大統領報道官は、オバマ大統領は会談で中国の統治下にあるチベットの権利拡大を非暴力的な手段で追求するダライ・ラマの姿勢を支援する姿勢を示し、米国は1月に再開された中国とダライ・ラマの対話を支持していると語った。またオバマ大統領とダライ・ラマは、前向きで協力的な米中関係が重要であるという点で合意したという。

 ホワイトハウスに近いラファイエット広場(Lafayette Square)では、雪が残るなか、集まった人々がチベットと米国の旗を手にスローガンを叫んでダライ・ラマを歓迎した。

 中国は会談に反発していたものの、米国内には中国の抗議は国内事情に基づくもので、米中の協力関係の重要性は中国指導部も理解しているはずだという専門家もいる。米国が台湾への武器売却を決めたことへの報復として中国は前月、米国との軍事交流を停止すると発表したが、オバマ大統領とダライ・ラマの会談の数時間前には米原子力空母ニミッツ(USS Nimitz)が香港(Hong Kong)に到着している。(c)AFP/Shaun Tandon