【2月15日 AFP】世界第2位の経済大国の座を、中国が今にも日本から奪おうとしているが、デフレにあえぐ日本にとって隣国の急速な経済成長は必ずしも悪いニュースではないと言える理由の一例が、中国人学生のシ・ミンフェイさんだ。

 日本では消費者の財布のひもがいっこうに緩まないなか、経済はますます輸出依存を強めているが、長らく不況に苦しむ日本の小売業者にとって、シさんのような旅行者は例外的な朗報といえる。

 上海(Shanghai)でエンジニアリングを学んでいる20歳のシさんは、旅行で日本を訪れた際、服やバッグ、靴、コスメ製品などのショッピングに思い切って30万円を使った。

 北京(Beijing)から訪れた42歳の主婦は、買い物予算の50万円のうち20万円をはたいて、12歳の息子のためにアニメ「機動戦士ガンダム(Mobile Suit Gundam)」の玩具ロボットを買った。

 彼らのような中国人観光客は、90年代前半のバブル崩壊から20年にもわたり、デフレと低迷を続ける日本経済に弾みをもたらす歓迎すべき存在だ。

 日本政府はすでにこれを認識し、訪日する中国人観光客の間で団体旅行よりも個人旅行の人気が高まっていた09年7月、個人に査証(ビザ)の発給を開始した。

 09年に日本を訪れた外国人観光客の数は、世界的な不況や円高、新型インフルエンザの影響から、前年比18.7%減の679万人にとどまり、過去40年で最も激しい落ち込みを見せた。しかし、中国本土からの観光客は同0.6%増となり、過去最高の100万人に達した。

 日本の各旅行会社は、エステや健康関連の企画を盛り込んだ観光ツアーを用意するなど工夫を凝らし、中国人観光客を引きつけようとしのぎを削っている。例えば大手の日本旅行(Nippon Travel Agency)では、高級ホテルでの宿泊と、最新設備の医療機関でのがん検診を組み合わせた2人で100万円の1週間のツアーを打ち出している。(c)AFP/Miwa Suzuki