【2月8日 AFP】生まれ故郷の米国から「ルーツ」の中国に返還されて前週、四川(Sichuan)省に到着したパンダ2頭のうちの1頭に飼育費など約6万ドル(約530万円)を出資する「里親」契約を、中国の自動車メーカーが結んだ。

 このパンダは約5年前に米ワシントンD.C.(Wasihngton D.C.)のスミソニアン国立動物園(Smithsonian National Zoo)で生まれたオスの泰山(タイシャン、Tai Shan)。同様に米国で生まれたメスの美蘭(メイラン、Mei Lan)とともに四川省・臥龍(Wolong)にあるパンダ保護研究センターの繁殖プログラムに参加するため、米国民に惜しまれながらも5日、ワシントンD.C.から特別機で四川省成都(Chengdu)の空港に到着した。

 このうち泰山の「里親」を申し出たのは、同省でハイブリッド車などを生産する自動車メーカー、四川汽車工業集団(Sichuan Auto Industry Group)。7日、環境保護を掲げる会社の企業理念にかなうとして飼育支援への出資を決めたと発表した。

 同社幹部の一人は企業広告が目的ではないと強調する一方で、泰山の誕生日などの機会には、国内各支社などで記念行事を開催する考えを明らかにした。6万ドルは「里親」としての基本契約料で、今後も出資を追加する可能性があるという。

 泰山は現在、四川省碧峰峡(Bifengxia)の臥龍パンダ保護研究センターが保護しているが、同センター広報担当のHen Yi氏は、四川汽車工業との契約によって、泰山の飼育環境が変わることはなく、繁殖センター外に移されることもないと述べている。

 一方、一緒に中国に着いたアトランタ(Atlanta)生まれのメスの美蘭は四川省の別のセンターに送られたが、着陸直後から非常に神経質な様子を見せ、新しい環境になかなかなじめずにいるという。食欲もなく、中国人と米国人の飼育係が付き添って、落ち着かせようと努力している。(c)AFP