【1月30日 AFP】英国のトニー・ブレア(Tony Blair)前首相は29日、2003年のイラク戦争参戦に関する独立調査委員会の公聴会で証人喚問された。ブレア氏は参戦を強く正当化し、サダム・フセイン(Saddam Hussein)元イラク大統領を排除したことは後悔していないと語った。

 英国がイラク参戦を決定する11か月前の02年4月、米テキサス(Texas)州クロフォード(Crawford)にあるジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領(当時)の私邸で行われた米英首脳会談で、イラク戦争に対する英国の支援を約束したかとの質問に対しては、「われわれはあなたがたとともにこの脅威(当時イラクに存在するとされた大量破壊兵器)に立ち向かい、対処する」と述べたと証言した。

 結局イラクで大量破壊兵器が発見されることはなかったため、02年9月の「イラクは45分間で大量破壊兵器を発射できる」とした報告などで、参戦を正当化するための情報操作が行われたのではないかとの疑念が持ち上がった。ブレア前首相はこの情報は「訂正されるべき」だったと認めた。

 一方、英国をはじめとする多くの国が当時、イラクに大量破壊兵器があると信じていた上、01年9月11日の米同時多発テロ以降はテロの脅威に対する認識が劇的に変わったため、イラクの大量破壊兵器がテロ組織に渡る可能性を見過ごせなかったと主張した。

 公聴会を後にするブレア前首相に対しては、会場外に集まったイラクで犠牲になった兵士の遺族らから「うそつき」「殺人者」などの罵声が浴びせられた。

 数百人の反戦支持者らは「ブレア(Blair)」をもじった「ブライアー(Bliar、うそつきブレアの意)」と書かれたプラカードを掲げ、「トニー・ブレアは戦争犯罪人」と声高に叫んだ。

 息子をイラク戦争で失った男性は「彼(ブレア前首相)は自分のことしか考えていない独裁者だ。間違いを犯したことを認めない」怒りを露わにした。(c)AFP/Alice Ritchie