【1月23日 AFP】大地震に見舞われたハイチで救援活動が混乱をきわめていることについて、22日の英医学専門誌「ランセット(Lancet)」は、混乱の原因は自らの利益を追求する複数の大規模援助団体にあると批判する論説記事を掲載した。

 ランセットはハイチの被災地における支援活動について、「多数の国際団体、政府団体、非営利団体は、それぞれが被災者のために最善を尽くしていると主張しているが、各々が有利な地位を得ようと競い合っているだけ」と指摘した。

「援助セクターは疑いなくそれ自体が1つの『業界』になっている。大きな組織によく見られる内輪の権力闘争やお役所的な体質に毒され、資金集めのためのアピール合戦に取り憑かれているのかもしれない。マスコミに報道されることが目的になってしまっている活動が多すぎる。マーケティングとブランディングが重視されすぎている」

「最悪なのは、現地の事情に通じ、迅速に援助を届けられるかもしれない小規模な援助団体との調整が不十分なため、活動が重複する場合もあることだ」

 これに対し、ハイチ大地震発生以来、被災者支援のための寄付金4200万ポンド(約60億円)を集めた英国の援助機関、災害緊急事態委員会(Disasters Emergency CommitteeDEC)は「ハイチでランセットが述べているような状況が起きているとは考えていない」と反論した。

「われがちに有利な地位を得ようと競い合ってなどいない。むしろ、英国の13の大規模援助団体は協力してハイチ大地震の災害緊急事態委員会を運営し、募金活動や告知活動において組織的に行動している」と主張している。

 さらに、地震後のハイチは物流に大きな問題に直面しているが、ランセットの記事がこの点を考慮していないことも指摘している。(c)AFP