【1月20日 AFP】ギリシャ船籍の大型石油タンカー「マラン・センタウルス(Maran Centaurus)」の解放と引き換えに支払われた過去最高額の身代金推定700万ドル(約6億3500万円)をめぐり、ソマリアの海賊の間で激しい戦闘が行われ、少なくとも6人が死亡したもようだ。

 海賊が本拠地としているソマリア沿岸ハラデレ(Harardhere)の長老などによると、17日に身代金が小型機から投下されたのを機に緊張が高まり、海賊間の抗争が勃発。18日夜の戦闘で、海賊のリーダー1人を含む海賊3人のほか、民間人1人が巻き添えになって死亡した。

 別の情報筋によると、身代金が投下された直後に戦闘が発生し、海賊2人が死亡した。身代金をめぐる内輪もめによる死者は、計6人ということになる。

 地元長老のモアリム・アブダラ・ハッサン(Moalim Abdalla Hasan)氏は19日、AFPの電話取材に対し、「けさは静かだが海賊間の緊張状態は続いている。住民たちもおびえている。われわれは海賊たちの調停役として、街に平和を取り戻そうと努力している」と語った。

 また、戦闘のあおりで19日は店を開けられなかったという食料品店主のハッサン・ナイル(Hasan Nile)さんは「抗争には多数の重火器が使用された」と語り、不安を漏らした。「殺し合いの結果、海賊たちは二度と仲間を信用しなくなるだろう。調停が速やかに行われなければ民間人も含めてさらに多くの死者が出るだろう」

■ソマリア海賊は団結していると言われてきたが・・・

 ソマリアの海賊たちは株式会社のような組織を持っており、国中のビジネスマンたちが、金銭的・物質的な援助や株の売買を通じてハイジャックに対する「投資」を行うことができる。その一方で乗っ取った船が大きいほど、「株主構成」は複雑になっていく。身代金をめぐる内輪もめは珍しいことではないが、18日夜の戦闘は海賊間としては過去最悪規模となった。(c)AFP/Mustafa Haji Abdinur