【1月20日 AFP】ロシア各地の湖や川で19日、ロシア正教会(Russian Orthodox Church)の公現祭(Epiphany)の行事の1つとして、氷のように冷たい水に漬かる敬虔(けいけん)な信者たちの姿が見られた。

 ヨルダン川(River Jordan)でイエス・キリスト(Jesus Christ)が洗礼者ヨハネ(John the Baptist)から洗礼をうけたことに由来する行事だ。

 ロシア正教徒にとって、聖職者が聖成(聖別)した水には不思議な力がある。ロシア正教会のキリル総主教(Patriarch Kirill)によると、「公現祭に聖成された水は決して古くならず、病人がそれに触れれば病は癒え、悪魔は去り、人は力を得る」という。

 水に飛び込むのは「オプション」だが、信心深い人の間では人気の儀式になっている。

 ロシア通信(RIA-Novosti)が警察の情報として報じたところによると、モスクワ(Moscow)では約3万人が19日の未明から朝にかけて、湖や川にはった氷に穴をあけて水に浸かった。ロシア非常事態省はモスクワ近辺の湖と川に200人のライフガードを配置した。

 モスクワ郊外のゴルフクラブでは、19日午前零時(日本時間同日午前6時)を過ぎると、集まった人々がマイナス25度の寒さの中、氷にあけた穴から水に飛び込んだ。

 ろうそくを手にした約200人が、白い息を雲のように立ちのぼらせながら聖職者に続いて近くの川に向けて行進した。その後、水着や丈の長い白いシャツに着替えて水に浸かった。

 経済的に余裕のある人には、支給されたフェルトのブーツとシャツを身に着けて水に浸かり、その後はコサックのダンスと食事が楽しめる3500ルーブル(約1万1000円)のツアーもある。

 ロシア有数の調査機関レバダ・センター(Levada Centre)が18日に発表した世論調査によると、ロシア人の6%が公現祭の日に水に漬かることを計画し、48%が教会に行って聖職者に聖成された水をもらうつもりだという。

 政治家にとっても公現祭は、水に飛び込む写真をマスコミに撮らせてロシア正教会の敬虔な信者であることをアピールする恰好の機会になっている。(c)AFP