【1月18日 AFP】若い男性を好む中年女性を意味する「クーガー」(ピューマの別名)をターゲットにした販促キャンペーンを行っているニュージーランド航空(Air New Zealand)に対し、レイプ被害者の会などから激しい抗議が巻き起こっている。

 キャンペーンは、2月にウェリントン(Wellington)で行われるラグビー大会のチケット60人分を、「肉は新鮮なレアが好き」という中年女性たちに進呈するという内容。「クーガー女性」最高4人1組で、自分たちの写真をニュージーランド航空宛てに送ることが応募条件だ。

 動画共有サイト「ユーチューブ(YouTube)」で公開されているPRビデオは、野生動物のドキュメンタリーをもじったパロディで、「大型肉食獣のクーガーは、昼間は緑のまばらな草原や森林で過ごし、夜間は大きな肉の塊にかぶりつく」と、クーガーについて説明している。

 ビデオはこれに続き、パブ(居酒屋)に集まる若い男性たちを映し出し、「群れ」から離れた男性を襲おうと「クーガー女性」が待ち構える様子を追う。ナレーションによると「この若い男性は、最終的にはクーガーが独りで暮らす都心のマンションに引きずり込まれ、残酷にもエンヤ(Enya)やユーリズミックス(Eurythmics)の曲の餌食となる」という。

 同航空では「ちょっとしたユーモアが大好評」としているが、このビデオが物議を醸している。

 ニュージーランドの民間団体「レイプ防止教育(Rape Prevention Education)」のキム・マクレガー(Kim McGregor)代表は「なぜわが国を代表する航空会社が、強制的な性行動を宣伝するのか理解に苦しむ。女性の価値をおとしめてもいる」と現地紙に怒りをぶちまけた。同団体には女性にレイプされた男性の被害者たちも、苦情を寄せているという。「かれらは自分たちの身に起こった状況が笑い物にされていることを悲嘆している」

 意表を突く広報活動は、ニュージーランド航空にとって初めてではない。09年には「セーフティビデオ」に、裸にボディーペインティングを施しただけの男女の搭乗員やパイロットを登場させて話題となった。(c)AFP

【参考】PRビデオ(英語)
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