【1月18日 AFP】12日(日本時間13日)の大地震で壊滅状態に陥っているハイチの首都ポルトープランス(Port-au-Prince)で16日、市街の商店から略奪する者たちを散らそうと、警官は空砲を撃った――数秒後、血眼の群衆は再び略奪を始めた。

 震災後のポルトープランスで、ハイチ政府が崩壊しきってはいないことを示す貴重なしるしのひとつが制服警官の存在だろうが、かれらは食糧と飲料水を必死で探す市民が怒り、略奪を始めても、銃撃はしないよう命じられている。

 マグニチュード(M)7.0の大地震で倒壊した店舗のがれき、役所関係の施設や事務所、壊れた住宅に、略奪者たちはくまなくたかっている。食べ物でなくても壊れていなければ、闇市場で売れそうだからと持ち去る。廃墟に立ち入るのは危険だという警告などお構いなしだ。

 ある警官は「みんな、持って行ける物はなんでも持ち去っている。自分に必要かどうかなんて二の次だ。狂ってる。われわれは略奪者に発砲しないよう命じられている。空砲しか撃てないがそんなものは効き目がない」と語る。

 別の警官は「市民の多くが武装している。刑務所もみんな壊れてしまったから、犯罪者もすべて逃走し、そのへんをうろうろしている。ついさっきもかれらにブラジルの救援チームが撃たれたばかりだ」と緊張した面持ちだ。いまや首都の中心部を支配しているのはカオスだ。

 外国の救援隊は国連(UN)部隊の警護なしでは活動中の安全さえ保証されない。コスタリカの救援隊は「この地域に最初に乗り込んだが、こんな状況なので、自分たち用の警護部隊も同行させた」と説明してくれた。

 日用品や食料品店の店主たちは「商品の70%は盗まれた」、「生きているだけまし。泥棒だらけなのに、警察も守ってくれない」と口々に訴える。
 
 空き家だと見込んで半壊した住宅に侵入した略奪者が、がれきに暮らす家族と鉢合わせる例も多い。そうした家族も自衛のために武装している。

 16日には首都の随所で、遺体の焼却場面を目にするようになった。比較的被害が小さかった首都圏外に向かう者たちも出てき始めた。

 トラックで通りかかったスペインの救援隊に向かって「死んだ人は腐らせておけばいいから、生きてる人間の面倒を見てよ。食べ物をちょうだいよ」と叫んだ女性がいた。(c)AFP/Beatriz Lecumberri