【1月14日 senken h】日常をさまざまな気分に彩ってくれるファッション。時には「なりきり系」スタイルに身を包んでみたくなることもあるけど、シネマ自体がまた、そんなツールの一つかも。アッシュ100号に寄せて、2010年版モードなシネマを集めてみた。

■『抱擁のかけら』
 「ジョン・ガリアーノ(John Galliano)」「ダイアン・フォン・ファーステンバーグ(Diane Von Furstenberg)」「ロエベ(LOEWE)」ほか名立たるブランド名がクレジットされているペドロ・アルモドバル(Pedro Almodovar)監督の新作『抱擁のかけら』。タグを組むこと4作目のぺネロぺ・クルス(Penelope Cruz)に「人生の中で読んだ最高の脚本」と言わしめた彼女の演技もまた、ベストとの呼び声が高い。悲劇的結末から封印していた生涯最上の愛と再び向かい合うことで、新たな一歩を踏み出す男の姿に、観る者も勇気をもらうだろう。

■『シャネル&ストラヴィンスキー』
 昨年度より相次いで公開されるシャネル関連作。そのフィナーレを飾るのが『シャネル&ストラヴィンスキー』。「シャネル(CHANEL)」のメゾンと「カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)」の協力を得て製作されただけあり、主演も現シャネルのミューズ アナ・ムグラリス(Anna Mouglalis)、そして衣装も本作用にデザインされたイブニングドレスなど多くのコレクションで、また実在するアバルトマンの使用などココ・シャネル(Coco Chanel)の世界を疑似体験するかのよう。史実に基づき忠実に紡ぎだされた物語は、伝説の香り「No5」と名曲「春の祭典」の誕生秘話を披露する。

■『サヨナライツカ』
 同名の小説にほれ込み、映画化を決意したというイ・ジェハン監督(「私の頭の中の消しゴム」)。原作者(辻仁成)の妻でもある中山美穂をヒロインに迎え、彼女の心情とリンクするかのようにスクリーンを彩る衣装のほぼすべてが、200枚以上のスケッチを経て仕立てられたオートクチュール。さらに130年以上の歴史上初めて映画の舞台として登場する名門ホテル「マンダリン オリエンタル バンコク(Mandarin Oriental Bangkok)」。幾重にも潜む監督のこだわりと、愛することの本質に触れる1編だ。(c)senken h / text:Hiroko USAMI

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