【1月13日 AFP】光を浴びると片頭痛がひどくなることがあるが、この理由を研究した論文が、10日の英科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス(Nature Neuroscience)」(電子版)に掲載された。

 米ベス・イスラエル・ディーコネス医療センター(Beth Israel Deaconess Medical Center)のRami Burstein氏らは、完全に目が見えず明るさが分からない6人と、進行性の病気のためにものを見ることはできなくなったが、光の有無は分かる14人の2つのグループを研究した。

 前者のグループは光で片頭痛が悪化することはなかったが、後者のグループは光を浴びたときに痛みがひどくなると訴えた。特に青やグレーの光を浴びたときに頭痛が悪化したという。

 Burstein氏らは最近発見された、「メラノプシン光受容体」を持つ網膜細胞が関係しているのではないかと考えた。後者のグループの人に残されている光受容体はこれしかないからだ。

 研究チームはラットの目に色素を入れて実験し、メラノプシン光受容体を持つ網膜細胞から視神経を経て光の信号を脳に伝える経路を発見した。その先に片頭痛の時に活性化する神経細胞群も見つかった。

 微小な電極をラットの脳に入れて調べたところ、光を当てるとすぐに神経細胞群の電気的な活動が活発になることが分かった。この活動は光を当てることを止めてもしばらく続いた。光を浴びるとすぐに片頭痛がひどくなり、光を止めても20~30分は頭痛が続くという症状と関係があるとみられる。

 研究チームは、光の信号を伝える経路をブロックして、光を浴びても片頭痛がひどくならない薬が出来るかもしれないと期待している。(c)AFP