【1月9日 AFP】サッカーのアフリカ・ネイションズカップ(アフリカ選手権、African Nations Cup 2010)に出場するトーゴ代表チームを乗せたバスが8日、開催地のアンゴラ国内で銃撃された事件で、主将のエマヌエル・アデバヨール(Emmanuel Adebayor)は、トーゴ代表は9日中に同選手権を辞退するかどうか、決定することになりそうだと語った。

 アフリカ有数の強豪であるトーゴ代表は、11日にアンゴラ北西部のカビンダ(Cabinda)でガーナ代表と対戦する予定で、前日コンゴのブラザビル(Brazzaville)からバスでカビンダに入ったところで武装集団に銃撃された。事件では運転手1人が死亡、選手9人が負傷した。銃撃が続いた約20分間、選手やスタッフらはバス車内で座席の下に身を隠し、銃弾から逃れたという。

 イングランド・プレミアリーグ、マンチェスター・シティ(Manchester City)に所属する主将のアデバヨールは事件直後、アンゴラのテレビ局に「体に銃弾が当たったチームメイトが叫び、意識を失っていく様子をみんなが見た。安全が確かでないならば、明日にでも帰国する。みんな命を捨てる気はない」と、涙を浮かべながらぼう然とした表情で語った。

 同選手は9日、英BBCラジオに対し、チーム全体でミーティングを持ち、選手権にとどまるかどうかを相談するつもりだと語った。多くの選手がアンゴラを離れたがっているという。

 アフリカサッカー連盟(Confederation of African FootballCAF)の広報担当は「トーゴ選手たちのことは非常に心配だが、大会は開催される」と語った。

 一方、コンゴ民主共和国領をはさんだアンゴラの飛び地領であるカビンダの分離独立を目指す反政府組織、カビンダ解放戦線(FLEC)が犯行を認めた。FLECは2006年に政府との和平に調印したが、最近になって反政府活動を再開している。

 27年間の内戦が続いたアンゴラでは、2002年の内戦終結以降に開催したスポーツ大会のなかで、今回のアフリカ選手権が最大。その開催地のひとつに、治安に長年不安を抱えながらも石油資源に恵まれるカビンダが選ばれた。(c)AFP/Nick Reeves