【1月7日 AFP】国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)のスパイによって、アフガニスタンの米軍基地でCIA要員7人が殺害された自爆攻撃について、アルカイダの司令官が7日、自爆犯の氏名を挙げ「復讐は英雄的な成功だ」と賞賛する声明をインターネット上に発表した。

 アルカイダのアフガニスタンでの活動を指揮するムスタファ・アブ・アルヤジド(Mustafa Abu al-Yazi)司令官は、12月末にホースト(Khost)州の米軍基地で自爆攻撃を実行したのは、フマム・ハリル・アブムラル・バラウィ(Humam Khalil Abu-Mulal al-Balawi、32)という人物だと明らかにした。同司令官によると、自爆犯は遺書に米軍無人機によるパキスタンの空爆で死亡したアルカイダ幹部らの名前を挙げ、「われわれの殉教者の復讐を果たす」と書き残していた。

「殉教者」として自爆犯が挙げたなかには、イスラム原理主義組織タリバン(Taliban)のパキスタン・グループを率い、2007年のベナジル・ブット(Benazir Bhutto)元パキスタン首相暗殺の黒幕と言われ、米軍のミサイル攻撃で死亡したバイトゥッラー・メスード(Baitullah Mehsud)司令官などが含まれていた。

 イスラム原理主義系のウェブサイトによると、バラウィ容疑者は数か月前から欧米の情報機関に三重スパイとして浸透を図っていた。ヨルダンの情報機関は容疑者を二重スパイだと信じ込み、アルカイダのナンバー2、アイマン・ザワヒリ(Ayman al-Zawahiri)容疑者の捜索目的でアフガニスタン東部に連れてきたとされる。各機関の関係者らは役に立つ情報要員だったと証言している。

 アフガニスタンではバラク・オバマ(Barack Obama)大統領の就任後、米軍の無人機による空爆が急増。2008年8月以降の空爆による死者は650人となり、地元の反米感情をあおっている。部族に詳しい現地の専門家は「無人機による攻撃は(アフガニスタンの旧支配勢力)タリバン(Taliban)を支持しない人間まで過激化させている」と述べている。

 一方、報道では、自爆したのはヨルダン人医師のフマム・ハリル・モハメド・バラウィ(Humam Khalil Mohammed al-Balawi)容疑者だと伝えられている。同容疑者の母親は6日、AFPの取材に対し、「息子は決して原理主義者ではなかったが、10か月音信不通で、生死は分からない」と語った。(c)AFP