【12月23日 AFP】2009年のフォーミュラワン(以下F1、F1世界選手権)は、シーズン開幕直前まで失業の危機にあったブラウンGP(Brawn GP)のジェンソン・バトン(Jenson Button)が王者となって幕を閉じるなど、波乱に富んだ1年となった。

 世界的な経済危機の影響によりトヨタ(Toyota)やBMWが参戦を断念し、「クラッシュゲート」事件では名門ルノー(Renault)のフラビオ・ブリアトーレ(Flavio Briatore)前代表が追放となった。

 そして1年の最後には、ブラウンGPを買収したメルセデス・ベンツ(Mercedes Benz)が史上最多7度の総合優勝を誇るミハエル・シューマッハ(Michael Schumacher)氏とドライバー契約を結び、F1界は予想外の展開を見せている。

■ホンダの撤退でドライバー生命の危機に立たされたバトンが年間王者に

 本田技研工業(ホンダ、Honda Motor)のF1撤退により、09年シーズンの展望を予測することができなかったバトンは、自身が持つポテンシャルを発揮できないままキャリアを終える可能性があった。しかし、チームを買収したロス・ブラウン(Ross Brawn)代表の下、バトンは開幕7戦で6勝を挙げ、年間優勝の基盤を作った。

 バトンは、第16戦ブラジルGP(Brazilian Grand Prix 2009)で年間優勝を決め、最終第17戦アブダビGP(Abu Dhabi Grand Prix 2009)ではドライバーズポイントを95まで伸ばし、4勝を挙げたレッドブル(Red Bull)のセバスチャン・ベッテル(Sebastian Vettel)に11ポイント差をつけた。バトンは「21年前、初めて車に飛び乗ったとき、まさか世界王者になれるとは思わなかった」とコメントしている。

 バトンは10年シーズン、マクラーレン・メルセデス(McLaren-Mercedes)への移籍が決まり、08年の年間王者ルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)とチームメイトになる。

 また、激動の1年を終えて涙を流したブラウン代表は、「チーム規模の変更を余儀なくされたことで、一緒にいることができなくなったすべての人たちに感謝したい。彼らはわれわれが成し遂げた成功の一部であり、それを誇りに思ってほしい」と話している。

 英国人ドライバー10人目の世界王者となったバトンは10年、これまで誰も成し遂げることができなかったタイトル防衛に挑戦することになる。

■「クラッシュゲート」やシューマッハ復帰と多くの話題を振りまいた2009年

 09年のF1は、本筋とは離れたところで多くの話題を提供した。

 シーズン初勝利を第10戦ハンガリーGP(Hungarian Grand Prix 2009)まで待たなければならなかったハミルトンは、シーズン開幕直後にスキャンダルの渦中にいた。

 開幕戦のオーストラリアGP(Australian Grand Prix 2009)で、セーフティーカー走行時にヤルノ・トゥルーリ(Jarno Trulli)がハミルトンを追い抜いた問題で、マクラーレンのスポーツディレクターを務めていたデイブ・ライアン(Dave Ryan)氏とハミルトンが虚偽の証言をしていたいことが発覚。その後、ライアン氏は解雇され、ハミルトンは謝罪をした。

 08年シーズンのシンガポールGP(Singapore Grand Prix 2008)でネルソン・ピケJr.(Nelson Piquet Jr)に意図的にクラッシュを起こすよう指示していたことが発覚したブリアトーレ氏は、その後ルノーの代表を辞任し、無期限の追放処分を受けた。ブリアトーレ氏は処分を「法的矛盾」としている。

 また、マックス・モズレー(Max Mosley)氏が、16年間務めた国際自動車連盟(Federation Internationale de l'AutomobileFIA)の会長職を退任し、次期会長には元フェラーリ代表のジャン・トッド(Jean Todt)氏が選出された。

 シーズン中盤には、シューマッハ氏の現役復帰への道が開けた。第10戦ハンガリーGPの予選でフェラーリのフェリペ・マッサ(Felipe Massa)が事故に遭い負傷したため、代役としての現役復帰が1度は発表された。しかし、シューマッハ氏は首に問題を抱えていたため、復帰を断念した。その後、シューマッハ氏は10年シーズンにメルセデスGPでF1復帰を果たすことになる。

 10年シーズンには、メルセデスGPのほかにリチャード・ブランソン(Richard Branson)会長率いるヴァージン・レーシング(Virgin Racing)、故アイルトン・セナ(Ayrton Senna)氏の甥ブルーノ・セナ(Bruno Senna)のドライバー起用を発表したカンポス(Campos)、USF1、ロータスF1(Lotus F1)が新たにF1へ参戦する。(c)AFP/Dave James