【12月23日 AFP】『ロード・オブ・ザ・リング(Lord of the Rings)』シリーズを大ヒットさせたニュージーランドの映画監督ピーター・ジャクソン(Peter Jackson)が、冒険ファンタジーとはほど遠い『ラブリー・ボーン(The Lovely Bones)』で新たな映画化の才能を発揮している。

 アリス・シーボルド(Alice Sebold)の同名小説を映画化した『ラブリー・ボーン』は、レイプされ惨殺された14歳の少女が死後の世界から家族や友人を見守るというストーリー。

「映画制作者として私が恐れているのは同じことを繰り返すことだ」ジャクソン監督は今月、ロサンゼルス(Los Angeles)で行われた会見に出演者とともに出席し、こう語った。

「何度も同じことを繰り返すことに興味はない。だがそれは、これ以上ファンタジーやスプラッター映画、人形劇を作らないという意味ではない」

「スプラッター」もしくは「スプラットスティック」(splatstick)と呼ばれるホラーコメディーで世界的に有名になり、『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還(The Lord of the Rings: The Return of the King)』で3つのオスカーを獲得したジャクソン監督は、これまでとは趣向の違う本作に意欲的に挑戦した。

 ジャクソン監督は、自分の死を受け入れる少女を描いたシーボルド小説の映画化について、「素晴らしいパズル」だったからチャレンジしたと語った。

「わたしたちはこの作品を、潜在意識の世界や死後の世界にいるときに起こる物事を描いたミステリーのような映画にしたかった」

■映画を彩る豪華出演陣

 米国では1月15日、日本では同月29日に全国公開される同作品には、豪華な出演者がそろった。スーザン・サランドン(Susan Sarandon)、レイチェル・ワイズ(Rachel Weisz)、スタンリー・トゥッチ(Stanley Tucci)、マーク・ウォルバーグ(Mark Walhberg)、ローズ・マクアイヴァー(Rose McIver)などだ。
 
 主人公の少女スージーを演じるのは、アイルランド生まれのシアーシャ・ローナン(Saoirse Ronan、15)。2007年の『つぐない(Atonement)』でオスカーにノミネートされ注目された女優だ。

■作品内の殺人に対する認識

 少女を殺害した犯人を演じるトゥッチは当初、出演には渋ったという。

「すべてにおいて厳しかった。最初は非常に気分が乗らなかった。わたしには子どもがいて、子どもが傷付けられる内容のものは本も映画も見ない」

 実生活では3人の子どもの父親でもあるトゥッチは、今年奥さんを亡くしている。

「殺人犯を描くものは好きではないが、これはそんな映画ではなかった。失うことを深く追求した美しい物語だった」 

 ロサンゼルスとニューヨーク(New York)では限定公開されている本作について、批評家はスージーの残忍な殺害シーンを描いていないことを批判している。

 しかしジャクソン監督は、10代の少年少女にも見てほしかったとして自身の手法を擁護した。

「わたしはこの作品を殺人映画だと考えたことは一度もない。いかなる手法でもそういうシーンを描けば烙印を押されてしまっただろう」

「わたしにとって小説を映画化することは、その内容をそっくりそのまま表現することではない。それは不可能だ。すべてを描くなら、映画の長さは5~6時間になってしまう」(c)AFP/Paula Bustamante