【12月22日 AFP】1人のオーストラリア人が、日本から米カリフォルニア(California)州まで、巨大なプラスチックボトルの中に入って太平洋を泳いで渡る計画を練っている。太平洋ゴミベルト(Great Pacific Garbage Patch)にも分け入り、海洋汚染の実態を世界に伝えたいとしている。

 2011年にも実行に移したいと語るのは、映画の制作が本業のリチャード・ペイン(Richard Pain)さん(45)だ。AFPのインタビューに対し、「9000キロを泳ぎ切るのは狂気のさただということは自覚している」とした上で、環境についてもっと考えるきっかけにしてほしいと話した。

「わたしがこんなクレイジーな旅を達成できるということは、みんなも何かをできるということ。プラスチック製品を再利用したり、プラスチック製品を使うことを見直したり、1つでもプラスチック製品を使うのをやめたり、日常の行動にちょっとした変化を加えるだけでいいんです」

 なお、危険な環境問題への政治家らの対応に不満を抱き始めたのが、計画の動機だという。

■巨大ボトルに入って

 ペインさんは、海の危険から身を守るため、ペットボトル数千個を再利用した巨大プラスチックボトルの中に入って泳ぐことにしている。ちょうど、野生のサメと接近遭遇するツアーで観光客が入る「ケージ」のようなものだ。現在、ボトルの設計が行われている。

ペインさん自身は、ボディースーツと足ひれ、耳栓、キャップといういでたちになる。シュノーケルも用意される。

 旅の途中には、太平洋ゴミベルトにも立ち寄る。太平洋ゴミベルトは、テキサス州ほどの面積にプラスチックゴミが約6メートルの深さまでひしめき合っている海域だ。周辺を4つの大きな海流が時計回りに流れていることもあり、船から投げ捨てられたゴミや陸地からはじき出されたゴミが、この海域に集まってくる。ゴミベルトは鳥や海洋生物の命を脅かしている。

■1日10時間泳ぐ

 太平洋横断中は、週5日、1日最大10時間ほど泳ぐことになる。週末は船上で休息をとる。横断には、約45週間かかる見込みだ。

 この壮大な計画に関するドキュメンタリーの撮影は今年6月にすでに始まっている。ペインさんは現在、海で1日5キロの水泳練習を行っており、1年かけて5日間で最大30キロ泳げるようになったら、足ひれを使って1日40キロ泳げるようにしたいという。(c)AFP