【12月12日 AFP】インドネシアの病院で誤診されたことを友人にメールし、それがネット上に広まったことをきっかけに訴えられた女性を救おうと、全国に募金の輪が広がっている。

 銀行員で2児の母のプリタ・ムルヤサリ(Prita Mulyasari)さん(32)は前年、ジャカルタ郊外のオムニ国際病院(Omni International Hospital)でデング熱と診断されたが、実際には流行性耳下腺炎(おたふく風邪)だったことが、その後受けた別の病院の診断で明らかになった。

 プリタさんがこの件に関するメールを友人や同僚など20人に送ったところ、知らないうちにメールがあるメーリングリスト上に流出し、次々に広がっていった。メールの内容はオムニ国際病院の知るところとなり、同病院はプリタさんを相手取り民事訴訟を起こした。

 まだ2人目の子どもに授乳をしていたプリタさんは5月に拘置され、名誉棄損の罪で起訴された。名誉毀損罪で有罪になれば、6年以下の禁固刑を科される可能性がある。

 事件が米SNS、フェースブック(Facebook)で取り上げられたことをきかっけに、メディアやブロガー、スシロ・バンバン・ユドヨノ(Susilo Bambang Yudhoyono)大統領をはじめとする政治家の間から批判が高まり、プリタさんは21日後、逃亡や証拠隠滅を図らないことを条件に釈放された。

■硬貨6トンの寄付

 前週、病院が起こした民事訴訟で、高等裁判所が地方裁判所の判決を支持し、プリタさんに2億400万ルピア(約190万円)の賠償金支払いを命じたことで、プリタさんを取り巻く状況は新たな局面を迎えた。

 一部のブロガーたちが、プリタさんの収入をはるかに超える賠償金の支払いを助けようと、「ヘルプ・プリタ」運動を立ち上げ、全国で募金を始めたのだ。最新の計測では集まった硬貨の重さは6トンに達した。

 今回の一件で評判を下げたオムニ病院は今週、プリタさんが示談に応じるなら、民事訴訟を取り下げる意向があることを示した。ただ示談が成立しても、検察は刑事訴訟で禁固6月を求刑しているため、収監されるおそれは残る。

 プリタさんは「この件の決着後、インドネシアの司法制度が向上していることを願う」とし、騒ぎが落ち着いたらまた普通の人に戻りたいと語った。(c)AFP/Alvin Darlanika Soedarjo