【12月5日 AFP】フィリピン南部ミンダナオ(Mindanao)島のマギンダナオ(Maguindanao)州で、来年の知事選に絡み地元政治家の親族やジャーナリストら57人が殺害された事件で、フィリピン政府は5日、同州に戒厳令を発令したと発表した。同国で戒厳令が発令されたのは、フェルディナンド・マルコス(Ferdinand Marcos)元大統領時代の1972年~81年以来。

 グロリア・アロヨ(Gloria Arroyo)フィリピン大統領は4日夜、マギンダナオ州に戒厳令を発令した。同州の有力者アンパトゥアン(Ampatuan)一族の私兵の封じ込めが目的。一族の身柄拘束も容易になる。

 戒厳令発令の数時間後、特殊部隊は2001年から同州の州知事を務めるアンパトゥアン一族の長、アンダル・アンパトゥアン・シニア(Andal Ampatuan Snr)知事の身柄を拘束した。5日朝には、同知事の息子で、フィリピン南部のイスラム教徒地区の長を務めるザルディ・アンパトゥアン(Zaldy Ampatuan)容疑者とその親族の3人の身柄が拘束された。

 同知事の別の息子、同州ダトゥウンサイ(Datu Unsay)のアンダル・アンパトゥアン・ジュニア(Andal Ampatuan Jnr)町長はすでに身柄を拘束され、25件の殺人罪で起訴されている。

 警察当局は同町長と私兵100人が、前月23日、来年の知事選に出馬予定の地元政治家エスマエル・マグダダトゥ(Esmael Mangudadatu)氏の親族やジャーナリストら57人を殺害したとみている。

 同氏は、事件は同氏の出馬を阻止するために行われたと話している。(c)AFP/Karl Malakunas